top of page
  • 執筆者の写真洋子 小峯

第31号 薬の値段と長期的な視点

こんにちは


「アルツハイマー型認知症の治療薬がアメリカで承認された」

というニュースをご覧になりましたか?


日本の医薬品会社 エーザイ株式会社と、

アメリカの製薬会社大手バイオジェンの共同開発により

症状の進行を抑える効果が評価されるとして、

アメリカのFDA(食品医薬品局)に承認されたという内容です。

6月9日に発表されました。



アルツハイマー型認知症の患者数はアメリカで100万~200万人、

日本でも100万人程度がこの薬による改善が見込まれるそうです。


こうした新薬のニュースはその喜びと共に、



薬価については

「高すぎるのではないか?」

とか

「製薬会社の利益はどのくらいなのか?」

など、あまり好意的でない報道もされます。


新薬の開発には多くの費用がかかるであろうことは想像できますし、

民間企業であるからには利益を出すのは当然とも言えます。


今回認可された薬「アデュカヌマブ」の価格は


‘年間薬剤費(卸業者購入価格:WACベース)は、平均的な患者が維持投与量を用いた場合で5万6000ドル(約616万円)となる。

そうです。(引用元は記事の最後にあります)


金額だけを見れば、「高い!むり!」と思われるのではないでしょうか。


ここで私はがん治療薬オプチーボのことを思い出しました。


以前、オプジーボがガンの免疫治療薬として承認されたときも

その薬価が話題になりました。

承認当初は月300万円、1年間の治療で3800万円とされていました。

今は適用されるがんの範囲が増え、供給が増えたことで価格も下がり、

4分の1程度にまで薬価も引き下げられていったのです。

(引用元は記事の最後にあります)


とはいえ、約1000万。


ムリムリ・・・(´;ω;`)




ここで、お伝えしたいこと

日本は「国民皆保険制度」なのです!

公的な健康保険に加入している人ことで、

いざというときには安い価格で治療が受けられます。



・・知ってるよ 3割でしょう? 「1000万の3割じゃ300万円以上かかるじゃないの!!

と思った方・・・いえいえ、そんなにかかりません~(^^)/。


がん治療薬オプチーボは保険適用治療なので

「高額療養費制度」が利用できるのです。


日本国民の平均的な年収や年齢で概算すると、

この場合、自己負担は年間60万円強となります。


「利用する人は安くていいけど、こんな高額な薬まで保険適用にしてしまったら、国民皆保険制度が破綻するのではないの?」

そんな声も聞こえてきそうです。



私も、そう思っていました。


しかし、エーザイCEOが示した価格に対する考え方に私はハッとしました。

アルツハイマー型認知症を発症した本人や介護にあたっている家族が、病気を発症しなかったら得られるであろう収入や社会への貢献、時間の価値を考えると、適正な価格ではないか

というような内容でした。

病気や介護で本人や家族が離職することなく働き続けられれば、その人たちは、自らの人生を自らの収入で暮らしていくことができ、社会保険料や税金を納める側になってくれるわけで、高価な薬を保険適用にすることは結局国にとってもメリットになる。

 「長期的な視点の投資」に値すると感じた次第です。


この度のアルツハイマー型認知症治療薬も、

もし日本で保険適用になれば同様の経緯をたどるかもしれませんね。


今回も最後までお読みいただきありがとうございました。(^^♪


参考:<NHK NEWS WEB>


参考:医薬業界向けの有料情報サイト<ミクスOnline>


参考:厚労省 高額療養費制度について


bottom of page